それがたとえ趣味の範囲でのことだったとしても、例えばあなたが、絵でもダンスでも楽器でも何でもいいから習っていたとして、そうしたらきっと、昨日より今日、今日より明日には、新しい技や表現方法を習得し前より進歩している事を望むはず。というより、そういう事は自然と身についてしまうものだったりする。
 ここで、カーラの言葉である。

 「まともな教育を受けなかったから、私の作品には多分ちょっと風変わりなところがあったのだろう。私は無知な自分をなんとか失わずにいた。それこそ、一度失ったら、二度とは元に戻れないものだから。」

 「無知な自分をなんとか失わずにいた」なんて言葉を、こんなに堂々と誇らしく、そして、さらっと言えてしまうなんて、本当にカーラって不思議な魅力のある人だと思う。自分というかけがえのない個性に対するその正直さは、周りの者を引き寄せたり、はじき飛ばしたりする磁石のように私には思えるのだ。
 カーラにとって、普通の音楽家がたどる道のりを歩いてこなかった事は、決して不利な事なんかではなく、それは彼女の前途を照らす明るい光のようなものであったのかもしれない。(文/のっぽ)