誰かに「私、バツニなんです。」と言われたら、ちょっと驚くかもしれない。でも、カーラが、現在の夫で今月一緒にコンサートを行うスティーヴ・スワローの前に、2人の音楽家(ポール・ブレイ、マイケル・マントラー)とも一緒に暮らした経験があるという事については、驚くどころかかえってかっこいいとさえ思う。それは、カーラが有名な音楽家だという事の他に、意志の強さで自分だけの道を歩んできている事も関係しているかもしれない。
 音楽家同士がパートナーとして生活を共にして、いったいどんな暮らしになるのかは、凡人の私には皆目見当がつかない。でも、聞いたところによると、90年に「Tokyo Music Joy」で来日した際のスティーヴとのデュエットでは、カーラのそれまでの音楽的鋭さに優しみが加わって、より深い魅力にあふれ、まるで二人が音楽を通して愛を語り合っていたかのようだったとか。(ちょっと聴いてみたかった・・・)
もしかしたら、意志的で強いカーラの感性が、非常に温厚だと言われているスティーヴの持つ感性に触れた時、ちょっとした変化がカーラの音楽に起こったのかもしれない。
 最近になって、人は誰かもしくは何かの影響で変われるものなのだと思えるようになった。そういう事に気づくと、新しい事に出会うのがとても楽しみに思えてきて、むくむくと湧き上がってくる意欲を自分の中に感じたりする。コンサートに出かけていくという事も、ただ単に好きな音楽に生で接するという事だけでなく、人によっては元気をもらう事だったり、知らない事を知る事だったり、何かしら新しい発見が待っているイベントなんじゃないかと思ったりしている。そして、カーラ・ブレイという音楽家は、音楽を通して何か新しいものを聴き手に与える事のできる、優れた音楽家のうちの一人じゃないかと思えるのだ。

(文/のっぽ)