何かひとつの分野で成功をおさめる人には、その人なりの成功物語がある。10人いれば10の物語があると思うけれど、それでもそこには、大きく分けて2つのパターンがあるのではないかと思っている。
 ひとつは、自分でこうありたいという目標を決めたら、それに向かって戦略を練って進んでいくタイプ。周りの者がたとえ何を言おうとも、冷静に自分の能力を判断して前に進んでいき、チャンスがなければ自分でチャンスを作り出す。
 もうひとつは、カーラ・ブレイにもあてはまると思うのだけれど、才能とか能力とかという言葉以前に、自分の好きな事をただひたすらやり続けていくうちに華ひらくタイプ。何か迷う事が出てきても、選んだ道は必ず良い方向へと進んでいく道で、そこにまた新しいチャンスが待っていたりする。もちろんそれを生かすも殺すも本人の努力次第なんだけれど。
 高校を中退したただの音楽好きの女の子が、最初は不本意ながら楽器店の仕事をしたけれど、ナイトクラブでひょんな事からピアノを弾くようになるなど、様々な出会いを経て、まるで吸い寄せられるかのようにニューヨークに行く。そして、そこでジャズに出会う。そういうカーラのたどってきた音楽の道を思う時、運命なんていう言葉が浮かんできてしまうのは、「私はこれが好き」という事の持つ不思議なパワーを感じるから。
 賢く、無駄なく、人より近道で生きる事がもてはやされているような今の世の中で、自分にとっての「好き」を大切に生きていく事がどれだけ重要か、そんな事を考えてしまったりするのだ。ちょっぴり、今更って気もするけれど・・・。
(文/のっぽ)