前回に引き続きアメリカでのDVD「TOKYO SOLO 2002」のレビューをご紹介しますが、ここでもディレクターの河内氏の映像センスが絶賛されています。
 このDVD「Tokyo Solo」はECMによってリリースされた最初のDVDであり、発足以来このレーベルが提供してきた芸術性の度合いは、このDVDから貴方が得るものと全くである。
 しかし、最もじかに印象的なのは、音の質である。DVDの、より高度な解像度と、過去にリリースされたジャレットのCDと同じように、優れた音を利用することが出来たので、彼のピアノの音は大変豊かで身近に感じられ、あたかも貴方は、他の聴衆と一緒にコンサート・ホールにいると本当に感じるだろう。
 ヴィデオもまた傑出している。ジャレットの離れたショットから彼の顔と手の目一杯のクローズ・アップまでで、監督の河内紀氏はジャレットの演奏を、演奏会の聴衆の一員として見ることが出来る以上に色々な形で捉えている。事実、河内氏は、ジャレットのペダル操作であろうが、瞬間から瞬間に即興演奏を決めていくやり方まで捉えていないものは無い。 事実、過去にヴィデオでリリースされたどのソロ演奏よりも河内氏は、ステージ上の一人の男と一台のピアノを何度も何度も完全に注目せずにはいられないということを成し遂げた。
 多分、最も印象的なのは、全体の創造の過程においてジャレット自身が自己に没頭していく感覚を反映しながら、彼とピアノが暗闇に囲まれている遠景のショットである。
 ジャレットのソロ演奏には、抽象主義の部分と純粋なリリシズムの優しい瞬間で破られる濃密な部分とに区分されることが出来る、ある幾つかの様相がある一方、彼の広大なソロのディスコグラフィーを調べるか、または運良く演奏中の彼を見ることが出来た人はどのコンサートの形も本当に違っていることを知っている。 それが、ジャレットがプリマドンナと呼ぶ人がいるような振る舞いとまでは言わないが、時々彼の動作、声の見せ掛けを批判されるにも拘わらず、過去40年の間で最も重要な又はそのうちの一人の即興演奏家と考えられる理由である。
 これまでのヴィデオのリリースは、夫々皆価値を持っている一方、Tokyo Soloは、これまでにリリースされたジャレットのDVDの中で、最も鮮明で賞賛せずにはいられないものであると言っても誇張ではないだろう。
by John Kelman (all about JAZZより)
http://www.allaboutjazz.com/php/article.php?id=22198
次回のKoinuma's Noteは、キース・ジャレットにも、河内紀にもつながる偉大な作曲家の話しを書かせていただきます。

BACK
NEXT