「TRIO JAZZ」公演は、大成功のうちに幕を閉じることができました。ありがとうございました。様々な反響を頂くことができ、大変嬉しく思っております。その中から、朝日新聞(2001.4.27夕刊)のコンサート評を(既にお読みになっている方も多いとは思いますが)、あらためて以下に掲載させて頂きます。

コンサートの成功には、音楽家の素晴らしい演奏はもちろんの事、それを聴きにホールまで足を運んでくれるお客様、そして、舞台を陰で支える多くのスタッフ達の技術と努力、この3つが必要不可欠だと思っています。これから、約1ヶ月半の間、「メイキング・オブ・トリオ・ジャズ」と銘打って、普段あまり聞く機会の少ない、舞台制作のスタッフ達のコンサート制作に関わる緊張と喜びをエッセーにして、コンサートの新しい記録の形としてここで紹介していきます。スタッフ達が、各々専門的見地から書き下ろした力作が続きますので、どうぞご期待下さい。



朝日新聞「トリオ・ジャズ」コンサート評
(2001年4月27日夕刊)

すっかりおなじみの大人気トリオだが、今回はグループ名をキース・ジャレット・トリオからトリオ・ジャズに変えての来日とあって、新たな興味がふくらむ。そして彼らの演奏は、3者各自が個性と力量を存分に発揮し、ジャズの魅力の最たるインプロビゼーション、即興演奏の極致を見せて、さすが、とうならせた(23日、東京・渋谷のオーチャードホール)。
自作曲による自由奔放なソロのピアノ演奏で幅広い層にファンを得た天才キースが、ベースのゲイリー・ピーコック、ドラムスのジャック・ディジョネットと組み、スタンダード演奏を始めたのは83年のこと。以来18年間キースが、ソロ活動をはさみながらも、同じメンバーでトリオを続けている。この名手2人の素晴らしいサポートが常に鮮烈な刺激とパワーになって、音楽の向上を可能にしたからなのだ。今回の改称は、3人が対等に演奏し、新しい展開を行うことの宣言であろう。
その意欲は第1部に示されていた。切れ目のない1時間に及んだ演奏は、山あり谷ありの変化に富み、3人の自由なソロ、多彩なリズミック・テンションなどフリージャズを思わせる部分も現れる。ゲイリーのシャープにスイングするリズム、ジャックのマレットを使った良く歌うソロ、キースのエモーショナルでピアニスティックな美しさ、3人のスリリングなインタープレーが光る印象深い聴きものだった。第2部は、ご存じトリオのスタイルで、という感じのリラックスした演奏。キースのロマンチシズムと叙情の魅力はガーシュインの「バット・ナット・フォー・ミー」やカーンの「イエスタデイズ」などのバラードで人々を魅了し、彼もまた例のアーアー、ウーウー、陶酔の声をあげてごきげん。
改称してもやはりキースはリーダー格であり、彼の音楽の根本に変わりはない。トリオは強力な磁場となって人々をひきつけた。
(青木 啓・音楽評論家)