toykeat
はじめてトリオ・トウケアットのサウンドを聴いた人がまず感じるのは超絶テクニックと人を煙に巻くようなユーモラスなサウンドへの驚嘆と戸惑いかもしれない。彼らの演奏には聴く人の予想を裏切るようなとぼけた味がある。トリオが一体となって生み出すビートは純粋なジャズばかりでなくクラシックの要素も色濃いものだ。特にIiroのピアノ・プレイは、”リストがジャズを弾いているようだ”と形容されるほどの高度なテクニックと同時に、時に破綻するように脱線するフレーズの組み立てが秀逸だ。
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彼らの特徴は変化に富んだ曲調だ。最新アルバム『キューダス』ではたとえばモーツァルトに捧げられた冒頭の「エチュード」でクラシカルなピアノ練習曲がユーモアで味付けされた速いパッセージへと変化していく様が実にスリリング。他にもラグタイム風、ジャズ・ロック風、フュージョン風、フォークダンス風、バラード風と様々な曲調がまるでメリーゴーラウンドのように展開するが、そのどれもが一筋縄では行かないトウケアット独特の透明感あるサウンドで貫かれている。ピアノの音色はあくまでリリカルで美しく、リズム・セクションは複雑なリズムの中にさまざまな遊びを加える。一般的に言われるピアノ・トリオのイメージには収まりきれない雑食性が漲っているのだ。

彼らは過去2度来日しているが、どちらもライヴハウスでの演奏だったので、はじめてのホール・ライヴとなる今回のステージには乞うご期待。巨体を揺さぶりながら演奏するIiroをはじめとする彼らのエネルギッシュなプレイをこの目と耳で確認したいもの。ちなみにトウケアットToykeatとは、フィンランド語で「粗野な連中Rude Ones」を意味するという。

ピアニストのIiroは初めてオーケストラのためのピアノ協奏曲を作曲し、2月にフィンランドで初演とのこと。クラシック・サイドでの才能も開花していくことだろう。

彼らの次のアルバムはジャズ・スタンダード集になるらしい。リリースは秋になるようだが、ユニーク極まりないトリオ・トウケアットのスタンダード集とは楽しみだ。きっと来日公演でその一端を垣間見せてくれるだろう。

ユニバーサル ミュージック(株) ジャズ本部 編成担当 工藤浩巳


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