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The Synergy Live2003に来日するグループは、残念なことに、日本のジャズ・ジャーナリズムの怠慢さも手伝い、著しく知名度が低い。中でも、飛び抜けて異色(世界的レベル)であるにも関らず、全く無名(日本では)なのが、唯一のボーカル・ユニットMaria Joao & Mario Laginha(マリア・ジョアン&マリオ・ラジーニヤ)だ。ピアノ・トリオを中心に組まれた今回のプログラムだが、台風の目がこのユニットとなることは恐らく間違いない。3オクターブの声域を持ち、まるでミラー・ボールのようにきらきらと光りながら変化するMariaの愛らしくも変幻自在な歌声は、ポルトガルの矢野顕子を想像していただきたい。ジャンルという枠を外して見渡してみても、今、ヨーロッパで最も注目を浴びているボーカリストがMaria Joaoであることは、既に多くの音楽関係者が認めることである。マリアは既に10枚のアルバムを発表している。まるで一流のバーテンダーが、世界各国のリキュールを混ぜ合わせ、味わったことのないカクテルを創造して客を楽しませるように、サンバ、レゲエ、ジャズ、ボザノバ、ロック、現代音楽など、さまざまな音の響きをコラージュしたサウンドと、個性的な歌声とが融合する見事なユニット、それがマリア・ジョアン&マリオ・ラジーニヤだ。2世紀前のフランスのあるSF作家は、自らは一歩も家から出ず、百科事典と時刻表と地図を頼りにして、主人公をたった80日間で世界一周させたが、わずか数十分のワン・ステージで、このユニットは、観客を世界に連れ出すことに成功している。

公式ページ: http://www.bremme-hohensee.de/main_e.htm


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