antonio farao
アントニオ・ファラオがやって来る---- この第一報が舞い込んだ時、いよいよイタリアの元・神童ピアニストをこの目で確かめることができる!と、小躍りしたのでした。先日、ある新聞から“ジャズの未来を担う若手ピアニスト5人”というテーマで取材を受けて、ぼくは迷わずファラオを一位に選出。「14歳の時、クラブの休憩時間に披露した演奏が伊ピアノ界の重鎮をうならせたなど、数々の逸話を持つ“神童”も30代後半に。誰と共演しても個性を発揮するのがすごい。作曲能力にも優れ、代表作『ボーダーラインズ』で聴けるオリジナルも秀逸」とのコメントが同紙日曜版に掲載されました。
現在活躍する同世代のピアニストに比べると、アルバム・デビューが30歳を過ぎていたので遅咲きの印象もありますが、逆に近年注目されるようになったヨーロピアン・ピアニストの中では、ピカイチの実力者と言えます。ではファラオの魅力とは何か? まずは切れ味鋭くスピード感溢れる演奏。加えてクラシック音楽のトレーニングに裏打ちされた確かなテクニックと、イタリア人として成長した独自のセンスを滲ませたピアノの響き。「ザ・シナジー・ライブ」でファラオはソロとトリオのステージが用意されています。今、日本のジャズ・ファンの間で最も支持されているジャンルと言えるピアノ・トリオでは、ファラオの本領が発揮されることは間違いないでしょう。またソロ・ピアノは、このセッティングではまだアルバムを制作していないこともあって、これまでに知ることのできなかったファラオの音楽性や素の部分を目の当たりにできるかもしれません。いずれにしても今回の来日公演は、後々価値が高まるイベントになる、そう確信しています。


ジャズ・ライター/杉田宏樹


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