Zen
道元禅師曰く「全身全霊で聴くには、心眼で聴け」
そして3人のテーマは「今とは何か」

 人間性と音楽は切り離すことができない。音楽を聴けば、その人のことがわかる。演奏経験が多くなればなるほど、音楽を聴く時間が多ければ多いほど、演奏を聴けばその人がどういう人間であるかがわかってしまうものなんだ。その人の音楽がどこから来たものか、今どういう状況におかれているかがすぐにわかるし、今やっている音楽がなぜそうなっているかもわかる。そういう意味で、キースと一緒にやっている音楽は私がこれまで体験してきた中では最も高いレベルの音楽、と言っていい。道元禅師(注:稀にみる思想家、日本曹洞宗開祖。1200-1253)はこう言っている、「全身全霊で聴くには、心眼で聴け」と。それは“心で聴く”ということと同じでね、キースは肉体の中にある心で聴いている。彼には精神的な洞察力が備わっているんだ。こういう話をキースとしたことはないがね。考えないで、直感的に、自然に反応すること、誰も知らない未知なる世界を垣間見ること、そういう世界の最果てにたどり着くのがメロディ。まったく新しい響きであるとか異なる響きであるとか、そういう下世話なことではなく、「今とは何か」ということが私たちのテーマになっている。キースがピアノの鍵盤に触れて何か音を放ったとき、その音から私は生命力を感じ取ることができるんだ。