January, 1983
特別な何かが起こり、1日半でアルバム3枚分の
レコーディングをした21年前の1月
1983年1月、レコーディングの日取りが決まって、その前夜には3人で一緒に食事をした。そのとき、キースははっきりと「ただ単にレコードを作るためにスタンダードを演奏するのではない」という姿勢を明言した。それを超えた境地を3人で試みてみたいというのがキースの真意だった。スタジオに入っていたのは1日半ぐらいだったか…。その間に私たちはなんと、スタンダード集2枚分とフリー・フォームによる演奏を1枚分、アルバム3枚分の演奏を録音した。あっという間だった。レコーディングしているときはみんながものすごく熱くなって完全燃焼した。音が出た瞬間から互いの気持ちがよく通じるのがわかった。特別な何かが起こったんだ。朝10時ぐらいから始め、お昼を挟んで午後は1時から6時までぶっ続けで演奏した。翌日も同じように10時から始めて午後の1時頃には終えた。スタンダードをプレイしながら、私たちは自由な気持ちで感情を伝えあうことができたんだ。それが20年たった今もごく当たり前のようにずっと続いているというのは、ただただ驚きでしかない。こういう素晴らしい体験ができる機会を与えてくれたことに、キースには心から感謝している。このトリオは、私が自分の生涯を傾ける最も大切な音楽活動になったのだから。
1983年のヴィレッジ・ヴァンガードでの最初のライヴ以来、20年間もこのトリオが続くなんてまったく想像もしなかった。だいたい、同じトリオで20年間も演奏するなんて信じられないことなんだ。どんなに気心があっている仲間どうしでも、一定の時間がたつと様々な葛藤が起きる。それにグループが長く続くと音楽的にマンネリになるということもある。ところがキースとジャックとのこのトリオではそういうことがまったくないんだ。たったの1度もね。しかもこの20年というもの、私たちの間には契約書のようなものとかお金に関する取り決めのようなものは一切無いままでね。暗黙のうちにはっきりとしていることは、3人が演奏できる間はずっと一緒に演奏を続けるだろうということ。誰かが倒れて駄目になるまでは、このトリオは続くだろう。
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