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アメリカ
ジャスとは何かではなく、ジャズはどこまで可能かを示すことが出来るトリオ
(ニューヨークタイムズ紙)

ドイツ
e.s.t.のヨーロッパツアーはキース・ジャレットのヒットに値する!
(フランクフルト・アルゲマイネ紙-ドイツ三大紙のひとつ)

エスビョルン・スヴェンソンのピアノは88鍵の平均律で観客にうったえかける
(シュピーゲル誌)

フランス
e.s.t.はいつかジュアネのステージにおいて、
かの不動の地位を築いているジャレットさえにも、
取って代わり得るのではと感じさせた。
(ル・フィガロ紙)

イギリス これほど21世紀のダンスグルーヴとアコースティックジャズ・ピアノを堂々と組み合わせるグループは世界に彼らしかいない。
(ザ・タイムス紙)



 結成12年になるスウェーデンのトリオe.s.t.が米デビューから4年、米ダウンビートの表紙を飾った。そして"Europe Invades!"と題された特集記事の冒頭、「米国では無視された、しかしヨーロッパではロック・スター級の扱いを受けている、グローバル・ジャズ・シーンに衝撃を与える欧州ミュージシャンの新世代をリードするスウェーデンのトリオ、そのプロファイルを明かす」―そんな触れ込みどおり、メンバーおよびトリオのバックグラウンドから、苦汁を飲むことになった米デビュー・ツアーも含むキャリア、興味深い音楽観などが語られ紹介されている。権威ある米ジャズ雑誌が、もはや無視できない!とばかりフィーチャーしたアコースティック・トリオ、だがそのサウンドと欧州での絶大なる人気を知る時、米国ひいては全世界のリスナーからe.s.t.に熱い視線が向けられることはまちがいない。
 1993年から活動、スウェーデン~ヨーロッパで高い評価と人気を得ていたe.s.t.が米国に発見されたのは2001年。米コロンビア・レコードのA&Rマンが事務所に山積みされていたデモ・テープやCDを自宅で掃除機をかけながら聞いていた時、彼は掃除機の騒音に掻き消されることのない何かをe.s.t.の音楽の中に聴きつけ、スウェーデンに飛ぶとクラブで彼らの生演奏を聴く。そうしてe.s.t.の米デビューは決まった。
 同2001年、5作目『From Gagarin's Point of View』(1999年) と6作目『Good Morning Susie Soho』(2000年) から選曲された編集盤『Somewhere Else Before』がまずリリースされ、2002年には新録盤『Strange Place For Snow』のリリースがつづき、主要都市を回る3週間の米ツアーも組まれる。しかし、サンフランシスコ、ロサンゼルス、フィラデルフィア、ポートランド、シカゴ、ニューヨークどこでも聴衆は20人程度という散々な結果に終わった。
 「インタヴューのセッティングもなく、ラジオのサポートもなく、レコード会社の誰にもサポートされていないように感じた」と彼らは回想しているが、それも当然だったろう。デビューからほどなくエスビョルン・スヴェンソンの作る曲は高く評価され、90年代半ばには気鋭ジャズ・トリオとして本国の名だたる賞を獲得。1999年ドイツのアクト・レーベルからリリースされた『From Gagarin's Point of View』 (彼らにとってはスカンジナヴィア諸国以外でリリースされた初めてのアルバム) をターニング・ポイントに、彼らの活動はスカンジナヴィアを出て、すでに欧州全土に知られる存在だったからだ。
 長期ツアーを行なうと共に数々の有名フェスティヴァルに出演、各国の数々の音楽賞も受賞。彼らの快進撃はその後もつづく。米デビュー後の『Strange Place For Snow』、『Seven Days of Falling』(2003年) で、欧州での評価・人気をさらに絶大なものにする中、静かにだが米国での追い風も確かに吹きだしていた。モントリオールで出会い、『Strange Place For Snow』のCDを手渡したパット・メセニーは、インタヴューの中で折に触れe.s.t.に言及し、2003年ドイツのジャズ・バルティカで両者は共演。また同年、ポップ・シンガーK.D.ラングの依頼で彼女の北米ツアーのオープニング・アクトを務める。そして2004年11月、ミシガン州で行なわれたe.s.t.とザ・バッド・プラスの競演公演も成功を収めた。
 そして、米コロンビアとの関係を自ら断ったe.s.t.が自身たちのプロダクションで制作した2005年作『Viaticum』を「2005年のベストの一つ」といわしめ、2006年初頭の米ツアーも高い評価を得る。その証左の一つがダウンビート誌の記事であるわけだ。
 1961年に人類最初の宇宙飛行をしたソ連の宇宙飛行士の名を掲げそれまでと異なる視点を打ち出した『From Gagarin's Point of View』以降、アコースティック・ジャズ・トリオにエレクトリックな要素を加えたサウンドを押し進め、さらにはオーヴァーダブに頼ることなくライヴでも、エフェクターを使用しアコースティック楽器に変化をつける演奏で進展したそのユニークなサウンドを創り響かせるようになったe.s.t.。
 「メロディーはポップスのように熱く、そしてグルーヴを融和させて、僕たちはジャズでもあるポップスを演奏してきた」と彼らは語る。印象深いメロディーと、様々な変化に富んだサウンドを織り込んで清々しくダイナミックに繰り広げるアコースティック演奏で魅了する、スウェーデンのユニークな「ジャズを演奏するポップ・バンド」がe.s.t.なのである。

DOWN BEAT 5月号より
(DOWN BEAT誌の許可を得て掲載しています。無断転載お断りします)
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